東京品川・武蔵小山のスポーツバイクショップ、スポーツバイク・ハイロードです。バイクフィッティング、インソール成形、イベント参加などご相談ください! |
|
|
スポーツバイク・ハイロード
「注目のテストサドルセット入荷」
|
作成2010/12/28 |
ハイロードの年内営業も今日で終了です。皆さんこの1年まことにありがとうございました。今年最後の記事は注目のテストサドルと、そのミニレポートです。いや全くサドル選びは難しい!です。
1)新しいコンセプトのサドル、フィジーク・「バーサス」シリーズ
(テストサドルは特異なパープルだが、販売用はブラックです)
フィジーク アリアンテ・バーサス(写真左) 259g ¥11,700税込
フィジーク アンタレス・バーサス(写真中) 209g ¥15,900税込
フィジーク アリオネ・バーサス(写真右) 239g ¥13,000税込
上の写真のサドルは皆異なった形をしていますが、表面にタテ溝が設けられていることが共通しています。このタテ溝(センターチャンネル)デザインが「バーサス」シリーズの特徴です。
下に説明するように「エントリーライダーやロングライド派により適した、従来のフィジークサドルからのバリエーション」という位置づけになっており、「従来のサドルや他社のデザインと”対比されるべき”」という含意から対決を表す「バーサス(VS)」というシリーズ名になっているのです。
<バーサス・シリーズの特徴>
- より厚めのパッドを搭載して快適性を高める
- フィジークのアリオネ・アンタレス・アリアンテ「3兄弟サドル」はすでに高品質サドルとして評価を確立しています。バーサスシリーズはこれらスタンダードモデルにより厚めのパッドを搭載することで、サドルに荷重が残りがちなエントリーライダーやロングライド派にいっそう快適に感じてもらえるような設計になっています。センターチャンネルのなかの、薄くなっているところがスタンダードモデルと同じ厚さだといいます。
- センターチャンネルデザインで局部の不快感を低減する
- 長時間のトレーニングによる慣れと、強い踏み込みによるサドル荷重の減少が見られるレーシングライダーと比べた場合、お尻の慣れが少ないエントリーライダーやサドルに荷重が残りやすいロングライド派にとってはセンターチャンネルにちょうど接触する部分の体に、擦れによる痛み・圧迫による痛みやしびれが起こりやすいものです。バーサスシリーズではこの部分に溝を設けて接触圧力を減らすことでこうした問題を軽減しようとしています。
- あえて穴あきデザインにしないことでよりよいバランスを追求
- 上に述べたセンターチャンネル部分の問題対策として他社では「穴あきデザイン」のサドルが多く見られます。しかし「穴あきデザイン」は、1)穴のぶんだけ接触面積が減り、そこでは荷重が支えられないので残りの接触部分の圧力が増え不快感が増す、2)プラスチックシェルの穴によって剛性のバランスが変化し、荷重がかかった際に不自然に歪んで違和感を生じたり、負荷の集中で製品寿命が短くなったりする、3)穴の縁にエッジが生じるためその部分が当たって違和感・不快感が生じる、といった様々な問題をはらんでいます。
バーサスシリーズは、スタンダードモデルと同じ穴のないプラスチックシェルを使用し、パッドの厚みでセンターチャンネルを形成しています。また、チャンネル部分でも(弱くではありながら)荷重を支えるようにパッド厚みを設定しているので穴あきデザインのもつ各種の問題をうまくクリアーしています。
- 体質や好みに合わせて選べる3デザインをそろえる
- これはバーサスシリーズのみならずスタンダードシリーズとも共通することですが、フィジークは乗り手の体の柔軟性の違いに応じて異なったサドル形状が適切になりやすいという理論「スパイン・コンセプト」を提唱し、これに従って同じ用途に対して3種類のモデルを発表しています。それがフィジークのアリオネ・アンタレス・アリアンテ「3兄弟サドル」です。
- 手ごろな価格で高品質を実現するフィジーク製品
- とくにイタリアのサドルメーカーの製品には時として非常に高価なものが見られます。フィジークにも最高級の価格のモデルはありますが、同じコンセプト・形状のサドルでより手頃な選択肢も用意されています。これはその仕様ですでに満足なライダーにとっても、また自分に合うかどうかわからない高額なサドルをいきなり買って試すのではなく手頃なモデルで実験してからにしたい、というライダーにとっても合理的で魅力ある企業姿勢と思います。
<スパイン・コンセプトとは>
スパイン(脊椎)コンセプトとは、乗り手の脊椎および股関節の柔軟性に応じて異なった体の動かし方が見られ、そこでこれらに応じて異なった形状のサドルが適切となる、という理論です。
脊椎および股関節の柔軟性が低い、体の固いライダーは「ブル(雄牛)・タイプ」と言い表され、アリアンテサドルが適するそうです。アリアンテはサドル上面の湾曲が大きく腰が落ち着くところが1カ所に限られるような使用感です。ここに骨盤を固定するようにしてペダリングするのが「ブル・タイプ」のライダーにとっては適切なのだそうです。
逆に脊椎および股関節の柔軟性が高い、体の柔らかいライダーは「スネーク・タイプ」と言い表され、アリオネサドルが適するそうです。アリオネはサドル上面の前後長が長く、また湾曲がさほど強くないので座る位置を前後に大きく動かすことができます。体の柔軟性を生かして座る位置を時々動かすことでストレスが体の一カ所に集中しないような走り方ができるのが「スネーク・タイプ」のライダーなのだそうです。
両者の中間ぐらいの柔軟性のライダーはどっちつかずなので「カメレオン・タイプ」と言い表され、アンタレスサドルが適するそうです。またアンタレスは十分なパッド厚=快適性を備えていながら3兄弟の中でもっとも軽量でもあり、その点に着目するライダーもいます。
2)ハイロード青山が体験、ミニレポート
自分青山はこの数年アリオネのスタンダードモデルを使い続けています。時々浮気して別のモデルをちょっと試してみるのですが、今のところアリオネが一番相性がいいようです。しかし100%満足というわけでもなく常にもっといいサドルがないか気にしています。今回のバーサスシリーズのコンセプトは大変気になったので早速テストサドルを手配してトライしてみました。
1)アリオネ・バーサス
- またがったとたん「今までのアリオネよりもお尻が落ち着かない」。これはサドルが新しい=へたりがないということの他に、微妙にサドルの湾曲が違うようで、バーサスの方が平らというかむしろ上に凸のような乗車感覚でした(下写真参照)。また、スタンダードのアリオネはサドル後部の広い部分が面で接触することでお尻が後ろに滑るのを摩擦して防いでくれるような感じがあるのですが、バーサスはこの部分が低くなっているのでこの摩擦が十分でなく、そのこともお尻が落ち着かない理由になると思います。
- インドアトレーナーで数十分漕いでみたところ、やはり違和感が。センターチャンネル部分が体重を支える度合いが減った分、両脇の荷重が大きいのがだんだん感じられてきました。しかし後から考えるとこれには別の事情もありました。自分が愛用しているカペルミュールのレーシングパンツは、パンツのパッド形状によってセンターチャンネル荷重を減らすようになっています。そこでこれをバーサスと組み合わせるとセンターチャンネル部分の荷重分散が過小になるのでしょう。パンツとサドルとの相性も考えなればいけないということがわかりました。またこの点はしばらく乗り続けて体がなじんできたら(またサドルが適度にへたってきたら)、変わるかも知れません。
30分ほど試した感想としては「今までのアリオネとは意外に使用感が大きく異なる」「お尻の落ち着きは弱くなる」と感じました。
2)アリアンテ・バーサス
- またがったとたんに、「いつものアリオネと比べてお尻が自動的に一カ所に納まる感じが強い」
- しばらく試してみると、「アリオネに比べて前後が短いので安定感が低く感じる」。形状からの予想ではもっとどっしりと座れそうな感じに思っていましたが、意外にも今までなじんだアリオネと同等かむしろ安定しない感じでした。
- さらに乗っているとアリオネバーサスと同じく、センターチャンネル両脇部分の荷重が次第に大きく感じられてきました。ただこの点はしばらく乗り続けて体がなじんできたら(またサドルが適度にへたってきたら)、変わるかも知れません。
というわけで自分の現状にはバーサスシリーズはうまく合わなさそうだということがわかりました。ちょっと残念です。しかしテストの後輸入元であるカワシマサイクルサプライさんに伺ったところでは「バーサスシリーズは従来のフィジークサドルでは合わなかった、従来他社の穴あきサドルなどを使っていたようなライダーを対象にしたモデルです」ということでしたので、従来のアリオネにかなり満足している自分にあまり合わなかったのはむしろ自然かも知れません。
また自分青山はスパインコンセプトでいうとブルとカメレオンの中間ぐらいなのだそうですが、アリアンテがあまり合うように感じられなかったのが印象的でした(アンタレスはすでに一度試してみてあまり気に入らなかったことがあります)。スパインコンセプトは乗り手の事情を理論的に類型化してアドバイスする、非常にすばらしい発想だと思います(他社も大いに参考にすべきだと思います)が、自分としてはこれにただ従うというよりはむしろ必要に応じてアドバイスとして参考にするという利用をおすすめしたいと思います。
(ほぼ平らなアリオネVS(左)と、湾曲の見られるスタンダードのアリオネ(右))
サイトマップへ
「ハイロード」ホームページトップへ
COPYRIGHT AOYAMA, HIROYASU 2010 All rights reserved.
(end of page)